詩画倶楽部

ポエジー漂う小冊子。六角文庫の電子本、紙の本。ブログ・ライヴラリーです。
by vooker
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本の案内所 プレセペ

 2008年に図書室を再開、といっても詩画倶楽部ブログに本棚を借りたままでしたが、ようやく本の案内が出来るページを設けました。プレセペと名付けました。蟹座の甲羅の中ほどにある、晴れた夜には肉眼でも茫とけむる美しい散開星団です。ガリレオが初めて望遠鏡で眺め、スケッチと文章で記録を残しています。この星団には思い出があります。それ以来、陶像を焼く豆窯にプレセペ窯と名付けたり、最近では2009年の世界天文年に星の本ばかりのプレセペ叢書を出したり。

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 本の散開星団(Open Book Cluster)プレセペのバナーは、ファイル情報を見ると2004年に作製していますから、その頃からなんとか新しいページを模索していたのだと思います。六角文庫、詩画倶楽部、狐の嫁入り文庫……とただでさえややこしいのだから止めようとの意見もありましたが、微星(小冊子)が蜜蜂のように群がる文庫、魂が密かに出入りするぼうと霞んだ文庫……そんなイメージが捨てがたくて、もう一度この名を借りることにしました。

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 新しい本の案内で工夫したのは、どんな本を、どんな風に置いてあるのか、どれを販売していて、どれを貸し出し、どれを閲覧させるのか。初期の図書室は全冊を一覧できる、縦軸が著作者、横軸がジャンルという表をテーブルで組んでいましたが、冊数が100を越えるとさすがに窮屈になっていました。新しい方式がベストがどうかはともかく、とりあえず、これで再開に至ってほっとしています。

 2013年は、本の販売ルートが開かれたことで画期的な年でした。無名の書き手の本がそう売れるわけはありませんが、どこかの土地で、時折ぽつん、と誰かにダウンロードされている——というのは驚異的なことです。そして、ありがたく、うれしいことです。
 プレセペのもう一つの新機軸は立ち読みが可能になったこと。販売中の本の中味の立ち読みから、一冊まるごと閲覧してもらうものまで、いろいろな試みを展開できそうです。これは松島智さんのBiB/iという素晴らしいツールが叶えてくれた夢です。こうした人たちの知恵と努力と善意のおかげで、心許ないながらも電子本作りに励めているのだと実感します。本の未来へ、彼らと同じ方角を向いて、出来ることを一つずつ進めたいと思います。泣きたいことも多い電子本作り、出来ることならわくわくしながら。
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by vooker | 2013-12-31 03:15 | ノート

電子本草創期 2000 & 2013

 フォルダ整理で古いテキストを見つけました。2000年に取材されたアンケートに答えたもので、基本的には今も変わっていないので、プロフィール代わりに掲載することにしました。取材者は現在「一箱古本市」で飛び回っていらっしゃる南陀楼綾繁さん。記事は「文化通信」という出版業界紙の連載で『「ミニ・メディア」ウォッチ』。質問も、記事のまとめもさすがと敬服した記憶がありますが、送っていただいた新聞はどこかの資料ダンボール箱に埋もれていて、ウェブページの方もとうに消えているのが残念です。

 「慌てずに草創期を渡っていくつもり……」と20世紀最後に書いていますが、実際慌てようにも慌てるほどの進展もなく、21世紀最初の10年は過ぎてしまいました。少額決済の難しさ、販路の無さ、何よりも電子本の認知の無さ。それが長年の霧が晴れたかのように、こんなちっぽけな文庫でも小舟を出せるようになりました。

 2010年の電子本元年とされた時には必要だったISBNコードの壁もなくなり、少額決済、販路の問題も解決し、個人作家にも扉と道を拓いたAmazon、Appleの功績は(将来的にも)大きなものがあると思います。その恩恵を十分に受けるにはやや老いたかもしれませんが、なんとか未知の潮流に乗り合わせたことを喜ぶべきなのでしょう。

 遠い未来に向けて、本も、出版も、作家も大きく変質変貌していくと思います。2013年の今も草創期に変わりありません。個人的には慌てないといけませんが、やはりどんと構えて鷹揚にいくのがいいかもしれません。願わくは、もう本のフォーマットを作り替えずに済みますことを。

  アンケート六角文庫
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by vooker | 2013-12-27 21:46 | ノート

月へのぼったピアニスト—泉井小太郎

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 月へのぼったピアニスト
 泉井小太郎
 2013年12月24日
 ePub形式
 106ページ 80KB
 図書室 立ち読み頁






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 月へ昇ったピアニスト
 泉井小太郎
 1997年11月20日初版
 2008年 9月27日五版
 エキスパンドブック
 58ページ 48KB
 図書室


 ニューヨークのどこか裏町、小さなジャズ・クラブ<ハレルヤ>。ある日のピアノ・トリオの演奏です。モデルは<Amazing>シリーズで名高いバド・パウエル。ベースに赤毛のピコ、ドラムスに稲妻ピトンを従えてのルナティックな一夜。

 ジャズ・ファンのある青年が、勤め帰りに町で見知った子供二人をジャズ・クラブに招待、彼が演奏の折々に子供たちに話しかけているといった設定です。本のどこにもそんなことは書いていませんが……。
 パウエルの演奏には、必ずどこかで、このままもう帰って来ないのではないかと思う一瞬があります。それだけアドリブが深く、イマジネーションが高く。
                      —『六角文庫の本』より

 1997年11月にスタートした電子図書室の第一冊がこの本でした。

                           (2008.9.29)


 図書室でそのまま閲覧出来るBiB(ブック・イン・ブラウザ)方式の書架の第一冊に、この本を選びました。エキスパンドブック版から、約16年振りの復刻です。
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by vooker | 2013-12-23 20:10 | *童話

ばくの木—泉井小太郎・音座マリカ

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 ばくの木
 泉井小太郎・音座マリカ
 1994年 3月7日 私家版
 2013年 5月31日 iBooks版
 2013年 6月30日 ePub版

 Kindle Store
 iBooks Store





 夢を食う貘(ばく)という空想の動物が好きです。縁もあります。けれど、この本は植物編。悪夢ではない人間の夢を栄養にして育ち、人間の夢見る力を養ってくれる、共生の木について書いたものです。お話ではなく、解説のような本なので横書きにしました。
 20数枚のばくの木の素描も楽しめる絵本でもあります。

 オリジナルは1994年3月。和綴じ本で一冊一冊手作り。
 電子本復刻は1999年4月。エキスパンドブックでフロッピーに収録、ダンボール特製パッケージで頒布していました。
 その後、ダウンロード頒布を模索しましたが、少額決済の難しさで断念。和綴じ本は本文半紙を通すコピー機がなくなり、エキスパンドブックも開発中止、後継のT-Timeのリフローには相性悪く、長く絶版状態でした。
 常に六角文庫の第一冊目を担ってきた『ばくの木』も、ePub版だけはテキスト・オンリーの『天狗と雀』に譲って、ようやく14年振りの復刻となりました。
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 (2013.7.20)


 ■電子ルリユールとは?

 「ばくの木」について触れてくださった昔の記事があります。ZDNetの週刊ドットブック第27回で、ボイジャー社の萩野さんが「電子ルリユールとは?」というタイトルで書いて下さいました。ご本人の許諾を得て、一部掲載させていただきます。

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 文・泉井小太郎、絵・音座マリカの『獏の木』は、私がもっている美しい本の一つです。2年前、雪降る金沢の街でお二人からこの本をいただきました。作者自らの手になるものです。こんな暖かい本を手にするなんてまず経験できないことです。手触りはお伝えできませんが、本当に暖かいんです。紙の本の温もりというようなことではありません、こんなふうにいえば多少は感じがお分かりでしょうか……衣装をまとうときの繊維の持つ膨らみがこの本にはある……と。

 限定161冊でした。もうこの紙を通すプリンタがないと泉井さんはいっていました。最後の5冊が、2年前東京国際ブックフェアで販売され、初日開場後またたくまに売切れました。現場にいた私は、そのときのことを今でも思い出します。私が手にしている『獏の木』の奥付には、1996年10月7日発行の稿本第156番とあります。つまり最後の5冊は157番からだったということですから、なんともぎりぎりの瀬戸際だったわけです。

 私が申し上げたいことは、美しい本と電子本との間にある関係性についてです。『獏の木』はこれを感じとるうえで重要な一冊だったのではないかとおもいます。六角文庫にはエキスパンドブックの電子版『獏の木』が販売されています。

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 電子版『獏の木』をぜひご覧いただきたいとおもいます。きっといくつも気づかれることがあるでしょう。私は電子本においても貫かれている精神がここにはあると感じます。それは電子本『獏の木』の美しさです。どこにおいても、どのような状況、条件においても維持されるものがあり、それこそ人間という顔を持つわれらの根本に息づいているものだとおもうのです。

                    ——萩野正昭




 ■幻の「ばくの木」

 この記事の前に萩野さんから「ばくの木」のダウンロード電子本をボイジャーが、オンデマンドの紙の本を六角文庫が、という形で理想書店で出しませんか、というありがたいお話がありました。電子本と手作り本とを提供する試みは面白い、ぜひやってみたいと思いましたが、記事にもあるように本文半紙を扱えるプリンターが見つからず、泣く泣く諦めた経緯があります。いまでも残念と惜しむ気持があります。その理想書店もついに閉店、新しい時代のBinB STOREが始まっています。
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by vooker | 2013-12-08 17:16 | *童話

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